白内障手術
白内障手術
進行した白内障に対して、濁った水晶体を取り出し、眼内レンズ(アクリル樹脂などでできた人工の水晶体)に置き換える手術が白内障手術です。白内障手術の安全性は向上しており、入院せずに日帰りで行うことも可能です。
現在、主流となっている手術が、超音波の振動によって濁った水晶体を細かく破砕(乳化)し、吸引した後に眼内レンズを挿入する超音波水晶体乳化吸引手術です。この術式では切開する角膜の創口が小さく(2ミリ程度)、縫合する必要はありません。術後の乱視や感染症リスクを軽減することができます。また、手術時間は、個人差はありますが10分程度と短く、痛みも点眼麻酔や前房内麻酔などの局所麻酔によってほとんどありません。手術翌日からほぼ普段と同じような生活を送ることができ、患者さんの手術に対する不安や身体的負担が大幅に軽減されています。
1
創口作成
点眼・局所麻酔(前房内麻酔)後、角膜(黒目)と強膜(白目)の境目付近に小さな創口を作成します。
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眼粘弾剤注入
ジェル状の物質を眼内に注入し、安全に処置が行える状態にします。
3
前嚢切開
水晶体を包んでいる袋(水晶体嚢)の前面を切開し、処置用の窓を作ります。
4
水晶体乳化吸引
処置用の窓から超音波手術装置を挿入し、濁った水晶体の中身を細かく砕き、同時に吸い取ります。取り出したあとは、濁りが残らないよう被膜内部をきれいに磨きます。
5
眼内レンズ挿入
水晶体嚢の中に、小さく折りたたんだ人工水晶体(眼内レンズ)を挿入します。
6
眼粘弾剤除去・創口閉鎖
眼内からジェル状物質を抜き、代わりに水を満たします。創口は縫合することなく自己閉鎖します。
手術前に診察させていただきます。白内障手術および手術に向けての準備、生活の注意点などを説明致します。その際、手術同意書をお渡しします。
決定した手術日の3日前から、眼内のバイ菌量をできるだけ少なくするため、抗生物質の点眼を開始します。
手術前の制限はとくにありません。運動・食事・入浴など普段通りにお過ごしください。
手術後は入浴や洗髪の制限があります。前日のうちにゆっくりと入浴(洗髪)されることをおすすめします。
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ご来院
2
検査
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手術
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休憩
異常がなければ帰宅していただけます。
眼内炎予防のための目薬を処方します。決められた回数の点眼を必ず継続してください(約2ヶ月継続していただきます)。
手術跡からバイ菌が入ることを防ぐために、清潔を保つようにしてください。目を強く押さえつけたり、こすったりしないように気をつけてください。
手術の翌日から首から下の入浴は可能ですが、顔を濡らさないように注意してください。術後4日目からはいつも通りに洗顔や洗髪、入浴をしていただけます。
手術前日、当日は飲酒を控えてください。翌日からは少量であれば再開して構いません。
車やバイク、自転車の運転は、術後3日目から可能ですが、見え方が安定する時期は個人差がありますので、診察時に医師に確認してください。
ウォーキングなどの軽い運動や日常での家事、デスクワークであれば手術の翌日から可能です。汗をかくような運動、重いものを持つなど重労働は、手術後1週間は控えてください。ゴルフなどの頭を振る動作のある運動は2週間後は控えてください。運動の再開時期は内容によって異なりますので、診察時に確認してください。
白内障手術を受けた後の患者さんは、青みがかかって見えるという感覚を自覚される場合があります。この現象は手術後1、2週以内によく起こりますが、特に害はなく多くは経過とともに感じなくなります。また、眼底や視神経に別の病気が隠れていると、手術がうまくいっても視力が思うように出ないことがあります。
最近の白内障手術は大多数の患者さんにとって視力を回復することができる安全な手術となりましたが、手術後に次のような合併症を起こすことがあります。
最も多いのは、眼内レンズを支えている袋(水晶体嚢)の後ろ(後嚢)が手術後1~2年で濁ってくる後発白内障といわれるものです。しかし最近では、特殊なレーザーを用いることにより外来で簡単に治療できます。また非常に稀ですが、網膜剥離や術後感染性眼内炎など、重篤な合併症が起こることもあります。特に、術後感染性眼内炎は、場合によっては失明に至ることもあります。